所有機器
化学生命理工学科 : 2018/02/01
超伝導核磁気共鳴装置(NMR)
磁気モーメントをもつ原子核(1H, 13C, 31Pなど)を磁場中におくと,いくつかのエネルギー状態が生じる。このエネルギー差に相当する周波数をもつ電磁波を照射すると,分裂した核スピン状態間の遷移に基づくエネルギー吸収が観測される。その共鳴吸収位置の相違により化合物の定性が可能である。最近ではタンパク質の構造解析にも用いられる。
電子スピン共鳴分析装置(ESR)
不対電子をもつ原子や分子は,磁場中でその電子の磁気的エネルギー準位が分裂し,電磁波の吸収を起こす。その吸収スペクトルの形や位置から不対電子の周りの構造情報が得られ,強度から定量できる。感度は非常に高いが,不対電子を持たない系に対しては使用できない。
単結晶線構造解析
試料中の原子から散乱される線の回折角や強度は物質の構造に特有であり,無機・有機結晶,粉末,液体,アモルファス物質の同定や構造(原子間距離や配位数など)決定ができる。
粉末X線回折装置
試料中の原子から散乱される線の回折角や強度は物質の構造に特有であり,無機・有機結晶,粉末,液体,アモルファス物質の同定や構造(原子間距離や配位数など)決定ができる。
赤外分光分析装置(FT-IR)
試料に赤外線をあて,分子骨格の振動(特に非対称な振動),回転に対応するエネルギーの吸収を測定する.固体,液体,気体を問わずに測定ができる.有機化合物を構成する官能基の特性吸収帯を用いて,未知試料の同定や定量,構造解析に用いられる.得られるスペクトルは,ラマンスペクトルと相補的な関係にある.
ラマン分光分析装置
試料に単色の可視,紫外光線を当てると,分子骨格の振動(特に対称な振動)に起因して散乱光が観測できる.散乱光にあらわれる波数は,分子を構成する基に特有である.つまり,散乱光の波数の位置から定性分析が,散乱強度から定量分析ができる.
紫外-可視分光分析装置(UV-vis)
試料物質にある特定の波長の光(可視光,紫外光)を照射して,基底状態から励起状態へ電子遷移させることによる吸光現象を利用した測定法.吸収する光の波長は物質によって異なり,吸収される光の量は,物質の濃度に依存する.つまり,波長と吸光度から定性と定量分析が可能な装置である.
旋光計と円二色性分光分析装置
一般に,自然光は進行方向に垂直なあらゆる方向に振動している電磁波である.もし単色光をプリズムを通す時,
振動は進行方向を含む一平面にのみおこり,この光を偏光という.偏光が光学活性物質またはその溶液を通過する時,
その偏光面を回転する現象を旋光性という。その回転角(旋光度)を測定する装置が旋光計l(左)である.また,左右の円偏光
に対し,それぞれ異なる吸光度を示す現象を円偏光二色性といい,それを測定する装置が円二色性分光分析装置(右)である.
蛍光分光分析装置
光の吸収により励起状態に達した分子は,一般的にエネルギー(熱エネルギーとして)を失って再び安定な基底状態に戻る.しかし,ある分子についてはエネルギーを光として放出するものがある.その分子を蛍光物質といい,その光を蛍光という.この分析装置は蛍光を測定する装置である.物質の種類や濃度を決めることができる.
原子吸光分光分析装置
様々な化学物質を含む試料を炎等によって解離させ,すべて原子蒸気状態にして,特定の波長を持つ光を照射した時に起こる原子の吸光現象を利用して,化学物質に含まれるある特定の原子の濃度を測定する装置。ある原子に対して特異的に吸光させるため,共存イオンの影響は少ない.
元素分析装置
化学物質中の炭素,水素,窒素を自動で定量する装置.物質の組成式を決める上で非常に重要な装置である.
キャピラリー電気泳動分析装置
溶液を満たした毛細(キャピラリー)管の両端に高電圧をかけると陽イオンあるいは陰イオンが負極あるいは正極側へ移動する。その移動の早さは,イオンの大きさ,電荷の大きさなどに依存するため,混合物から各種イオンを分離することができる。その分離したイオンを
紫外可視吸光光度計や蛍光検出器などで検出する装置.
熱重量示差熱分析(TG-DTA)
試料を加熱した時の重量変化を測定(熱重量分析)し,熱的な安定な標準物質を同時に加熱した場合に生じる両者の温度差(示差熱分析)を測定する.熱重量の変化から加熱による物質の安定性,反応性に関する知見が得られる.示差熱分析から反応に伴う熱の出入りが分かる.
超高圧反応装置
地球深部 l30km付近の圧力(約1万気圧)を発生させる装置で,普通では考えられないような反応を実現させたり,極端に反応時間を短くすることができる.これは,圧力をかけることによって化合物の衝突確率を変化させたり,不安定な中間体を安定に存在させたりする効果による.通常の手法では簡単に合成できないような化合物,誰も合成したことのないような化合物を作ることも夢ではない.
共焦点レーザー顕微鏡(ニコン C1si)
試料にレーザーを照射して,試料から発する蛍光を対物レンズで集めて画像にする.対物レンズの焦点が合う平面から発する蛍光だけを拾うので,薄い切片にしていない動物の胚などを,シャープな画像として観察できる.
* この顕微鏡は,学内/学外の方に共同利用をしていただけます.ご希望の方は藤原(tatataa(a)kochi-u.ac.jp , (a)=@)までご連絡ください.
リアルタイム PCR 装置
ごく微量の DNA や RNA の量を測定する機械.PCR で DNA を増幅しながら,増幅中の DNA の量をリアルタイムで測定する.遺伝子の発現量を調べるためによく使われる.
クリーンベンチ
細胞培養のための無菌操作を行う装置.手前側のガラス扉を少し開け,手だけを中に入れて作業する.フィルターを通った無菌の空気が天井から吹き込まれ,手前のガラス扉のすき間から外へ吹き出す。この空気の流れによって,作業中も外のホコリやばい菌がクリーンベンチ内に入らない.
ディープフリーザー
-80℃ の冷凍庫.生命系の研究室では必需品.大腸菌などは生きたまま何年もここで冷凍保存できる.
超純水製造機
イオン交換樹脂や活性炭などを利用して,水の中の電解質をほとんど取り除いた「超純水(別名ミリ-Q 水)」をつくる装置.ふつうの蒸留水の比抵抗は 1 MΩcm あるかないかだが,この装置を通した超純水の比抵抗は 18 MΩcm と,ほとんど電気の流れない水になる.遺伝子の研究や細胞培養にはこの水を使う。
ユニバーサルズーム顕微鏡
大きな虫眼鏡程度の倍率から,普通の生物顕微鏡くらいの倍率まで,一台で観察できる使い勝手のよい顕微鏡。微分干渉装置もついていて,染色していない試料の観察も可能。遺伝子発現の観察などに重宝している。
サーマルサイクラー
こちらはごく普通の PCR を行うための機械。研究室に何台もあるが,多いときにはフル稼働するほど,みんなよく使う。
CO2 インキュベーター
哺乳類の細胞培養を行うための培養器。二酸化炭素を吹き込んで,末梢組織と同等の環境を作っている。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置
生体分子を,分子量や電荷など,さまざまな性質によって分離・精製・定量するための装置。高圧で試料を流すことによって,分離能と検出感度を増している。
ニードルプラー
顕微鏡の下で動物の卵に遺伝子などを注射するための,極細の注射針をつくる機械。細いガラス管に熱をかけて引っ張るだけなのだが,どのくらいの熱をかけてどのくらいの力で引っ張るかをツマミで調節し,注射したい動物の卵の大きさや固さに合わせて最適の針をつくる。
倒立顕微鏡
対物レンズが下の方についているので,培養細胞をシャーレなどに入れたまま,下から観察できる。
遠心機
DNA や RNA,タンパク質などを精製したり沈殿させたり…さまざまな目的に,一人が一日何十回も使う機械。この遠心機には冷蔵機能もついているので,低温で遠心できる。