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物理学会四国支部 学術講演会の案内 (8/6開催)
数学物理学科 志賀 雅亘 研究室 : 2026/07/27
[講師]
九州大学大学院 工学研究院 河江 達也 准教授
[日時]
2026年8月6日 14時00分から15時00分
[会場]
高知大学 理工学部2号館6階 第1会議室
[講演題目]
パラジウム水素化物・重水素化物超伝導における核スピンに起因する同位体効果
[講演概要]
水素は最も質量が小さい元素であり強い量子性を示す。そのため、金属内に侵入した原子状の水素(プロトン)は、低温では金属内を量子トンネルにより拡散する。特に母金属が超伝導転移するとトンネル確率は指数関数的に増大することが理論的に指摘されている[1]。本研究ではパラジウム水素化物(PdHx)の超伝導に着目し、その中をトンネル運動するプロトンの量子多体的振る舞いを調べた。パラジウム水素化物(PdHx)は、水素濃度x (=H/Pd) ≳ 0.72 で常圧下においても超伝導を示し、x の増加とともに転移温度Tcは上昇し、x ~ 1ではTc ~ 9 Kに達する。我々は非常に急峻な超伝導転移を示す高品質な PdHx 膜を作製し、その電気抵抗を詳細に測定した。その結果、急峻な超伝導転移にもかかわらず、転移後にも大きな有限抵抗が残存し、さらに低温でゼロ抵抗へと至る二段転移を示すことを見出した[2–4]。この起源として、トンネル運動するプロトンが超伝導のグローバルなコヒーレンスを乱すことで有限抵抗が生じ、低温でのプロトンの秩序化によりゼロ抵抗状態が実現すると考えている。つまり、超伝導体中をトンネル運動するプロトンは、量子液体あるいは量子固体的に振る舞うことが示唆される。
この仮説を検証するため、パラジウム重水素化物(PdDx)の超伝導特性を調べた。その結果、PdHxと同様に二段転移を示す一方で、残留抵抗領域において複数の相転移に対応する異常が出現することが明らかとなった。温度–磁場相図には複数の相が現れ、PdHx とは本質的に異なる超伝導相図が得られることがわかった。 これらの結果は、核スピン量子数の違い(プロトンI = 1/2、デューテロン I = 1)に起因して新たな相が出現することを強く示唆している[5]。講演ではこれらの結果について詳しく議論する。
参考文献
[1] M. Matsumoto and Y. Ohashi, J. Phys. Soc. Jpn, 62, 2088 (1993).
[2] R. Kato et al., JPS Conf. Proc. 38, 011033 (2023).
[3] R. Kato et al., J. Phys. Soc. Jpn. 93, 024703 (2024).
[4] R. Kato et al., J. Phys. Soc. Jpn. 95, 024706 (2026).
[5] R. Kato et al., arXiv:2605.20966.
世話人: 志賀 雅亘(高知大学理工学部 E-mail: mshiga@kochi-u.ac.jp)
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