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クラミドモナスでは、紫外線によって光防御機構活が急速に活性化する事を解明しました。
山崎研究室 : 2021/04/27
当研究室と、基礎生物学研究所の研究グループとの共同研究の成果がPlant Physiology誌に発表されました。
UV-A/B radiation rapidly activates photoprotective mechanisms in Chlamydomonas reinhardtii
Ryutaro Tokutsu, Konomi Fujimura-Kamada, Tomohito Yamasaki, Keisuke Okajima, Jun Minagawa
Plant Physiology. 185:1894-1902. (2021)
(解説)光合成生物の葉緑体では、光エネルギーを化学エネルギーに変換する光合成が光合成生物の自動成長に不可欠であり、過剰な光エネルギーの非光化学的消光(NPQ)により、活性酸素種の発生を防ぎ、強光下でも効率的な光合成を維持しています。単細胞緑藻類クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)では、フォトトロピン(青色光)と紫外線(UV)の光受容体を介した波長特異的な光シグナル伝達経路を介してNPQが光防御機構として活性化されますが、質の異なる光による光防御活性化の生物学的意義についてはまだよくわかっていませんでした。この論文では、NPQ依存性の光保護作用が可視光よりも紫外線でより速やかに活性化されることが明らかとなり、光保護に関わる遺伝子の発現やタンパク質の蓄積の誘導は、青色光や赤色光を照射した場合と比較して紫外線を照射した場合の方が有意に速く大きくなることを解明しました。またクラミドモナスは較的長波長の紫外線(UV-A/B)を感知するのに対し、モデル双子葉植物であるシロイヌナズナは比較的短波長の紫外線(UV-B/C)を優先的に感知して光保護反応を誘導することから、クラミドモナスは陸上植物とは異なる紫外線応答を発達させたて来たことが示唆されました。