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教育・研究

動物生理学研究室 : 2022/04/18

生理学とは

 生理学とは、生命の理(いのちのことわり)を明らかにする学問である。生物を構成する細胞、組織、器官などの各要素の姿かたちだけでなく、それらの結びつきを正確に捉え、生体内における(あるいは生体外に対する)機能を解明し、そしてその機能がどのように調節されるのか、その複雑さと美しいまでの統一性を理解することを目指す学問である。これには、各要素の巨視的微視的構造とその構築に関する解剖学的知識と、生体物質の生物的機能や化学構造、および様々な代謝反応に関する生化学的知識を要する。自然科学の発展と共に学問領域の分化が進み、生理学から生化学、薬理学、生物物理学、さらには分子生物学が分かれたことを考えると、本来の生理学は自然科学を構成する単一の学問分野にとどまらず、幅広い専門分野にまたがる学際的学問とも言える。

 

 

研究について

 原生生物とは、一般に、単細胞性の真核生物の総称である。アメーバやゾウリムシなどを見聞きした人も多いであろう。原生生物は、より進化の進んだ高等生物に対し、進化の進んでいない下等生物と捉えられがちであるが、それは大きな間違いである。原生生物は多細胞化を選択せず、ひとつの細胞のまま多機能化へと舵を切り極限まで進化してきた。つまり、原生生物は、多細胞生物を構成する個々の細胞よりもずっと複雑で高等な細胞と見なすことができる。また、原生生物は「細胞=生命」という生き物であり、彼らが織りなす生命現象、例えば運動、捕食、生殖などはすべて生存に必須の細胞機能である。動物生理学研究室では、「原生生物に見られる特異な細胞機能の分子機序解明とその生物学的意義および進化的起源の探求」を大きな研究テーマに掲げている。

 

 

教育について

 原生生物の研究について話をすると「その研究は何の役に立つのでしょうか」とよく聞かれる。原生生物がもつ構造や機能には、我々ヒトを含む高等生物の細胞と多くの共通点がある。さらには、原生生物特有と考えられている構造や機能が、実は真核生物に普遍的なものである可能性もある。したがって、原生生物について研究することは、全ての生物を構成し生命の単位ともいわれる細胞について深く知ることであり、ひいては、生物そのものを、生命そのものを理解することにつながる。と、答えることはできる。しかし、研究の原動力は将来的実用性ばかりでなく、純粋な興味であっても良いと思う。

 動物生理学研究室では、生命現象に対して「なぜ?」「どうして?」という素朴な疑問から出発し、自ら考え、情報収集し、課題を設定し、仮説を立て、その真意を検証するために実験計画を立て、自身の手を動かしてそれを実施し、得られたデータを解析し、結論を導く、といった総合的な知的活動を通じて、論理的思考能力と課題解決能力を養い、それを社会で活かすことのできる人材の育成を目指す。そしてその根幹をなすのは、生命科学研究の実践を通して学問の難しさと楽しさを存分に味わってもらいたいという教育理念である。