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応用自然科学専攻の研究内容の概要
高知大学理工学部 : 2012/07/28
「海洋自然科学」と「物質機能科学」の二大講座からなる本専攻には下記の教員が配置され,それぞれ活発な研究を展開しています。
1 海洋自然科学コース(連携コースを含む)
本コースは,海洋環境に存在する生物及び物質科学について,その生態と多様性,及びそれらを規定する原理の解明を基礎に,さらに海洋底資源物質の開発のための基礎及び応用について,「海底資源科学」,「海洋物質科学」及び「多様性生物科学」の3分野を中心として教育研究を行います。これらを通して,21世紀の国家事業である海洋の総合開発に対して正しい知識と理解を兼ね備えた高度専門職業人を育成します。それと同時に,海洋高知を目指す地域との連携を強化し,地場産業の振興に協力します。
(1)海底資源科学分野
地殻運動や物質循環の現場となる海底及び海底地殻は遠洋の深海域にあることから,直接の観察,測定,採取には大がかりな装備・体制が必要となります。従って,この分野では,世界最新鋭の大型観測船や調査装置,分析機器を活用して地球科学的研究を実施している海洋研究開発機構(JAMSTEC)と連携することで,様々な観測や解析の現場に学生が直接参加する機会を用意し,地質学や地球物理学的な研究手法を駆使して海底及び海底下についての多様な研究を行います。
研究内容 |
担当教員名 |
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海洋地殻の熱的多様性観測とそのダイナミクスの解明 |
木下 正高 客員教授 |
深海底縁辺域での現場観測と堆積 /テクトニクス |
林 為人 客員教授 |
深海底鉱物資源の形成過程と形成環境 |
臼井 朗 教授 |
海洋コア試料の同位体地球化学的手法による海洋環境の変遷 |
村山 雅史 教授 |
海洋地殻の形成と海洋底ダイナミクスの研究 |
富士原敏也 客員助教授 |
(2)海洋物質科学分野
海洋底及びその深部を構成する物質について,海底地質学,海底岩石化学,及び海底変動学的な手法により十分に解明することを目指し,さらに,海洋底に胚胎する有用鉱物学的資源について,その有効利用を目指した基礎的な解析を実施します。最終的には,資源物質を含めた海洋底物質の形成過程の解明を目指す教育研究を行う分野です。特に,形成過程の解明では地球科学と物質科学の融合が必要となります。
研究内容 |
担当教員名 |
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海洋地殻及び上部マントルの形成プロセスと変遷史の解明 |
石塚 英男 教授 |
海洋底堆積物の古地磁気岩石磁気研究とその環境磁気学的応用 |
小玉 一人 教授 |
貝化石の古生物学・古生態学的手法による地球環境の変遷 |
近藤 康生 教授 |
全地球測位システムによる地殻変動と地震発生機構の研究 |
田部井隆雄 教授 |
ノンテクトニック構造の研究と調査・解析手法の開発 |
横山 俊治 教授 |
海洋コア試料の同位体地球化学的手法による海洋環境の変遷 |
村山 雅史 助教授 |
海洋地質学,同位体地球科学および有機地球化学に基づく地球環境システム変動の復元とメカニズム解明 |
池原 実 准教授 |
模擬実験と観測による激しい気象擾乱の研究 |
佐々 浩司 教授 |
(3)多様性生物学分野
陸域環境と海洋環境を連続的に捉え,陸上の動植物から深海底の動物にいたる分類群の多様性の歴史的変遷,現状ならびに将来を自然史学的に考察します。陸域環境の保全は海洋生物群集の多様性と個々の種の生産量と連続性を保証します。一方,個体ないし細胞レベルの多様な生命現象もまた種の存続に深く関与しています。生物の階層のあらゆるレベルにおける多様性の維持は世界的な緊急課題であり,生物多様性にかかわる教育研究は人類の存続に大きく寄与できるものです。
研究内容 |
担当教員名 |
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単細胞生物の環境シグナルの受容と伝達の分子機構に関する研究 |
松岡 達臣 教授 |
魚類体系学と硬骨魚類の比較解剖学的研究 |
佐々木邦夫 教授 |
古植物学・花粉学的手法による植生史の解明 |
三宅 尚 准教授 |
魚類の分類学・体系学・形態学に関する研究 |
遠藤 広光 教授 |
種子植物の器官レベルの分類学的研究及び応用目的の資源植物学的研究 |
小山 鐵夫 客員教授 |
2 物質機能科学コース
本コースの特徴は,理学部内で培われてきた基礎理学の教育研究や応用分野の教育研究に水熱化学実験所で実践されてきた工学的要素を加味することにより,物質機能に関わる科学と技術,あるいはソフトとハードを融合させ高度な教育研究の場を実現することにあります。言うまでもなく,「有用新物質・材料開発」「物質循環プロセスの解明」「生命機能情報の解明」「量子機能物質の基礎過程の解明と応用」は,21世紀における我が国の科学技術創造立国としての命運をかけた最重要課題であり,また地域産業の振興にとっても極めて要求度の高い内容であります。このことを実行に移すため,地域産業や研究機関との共同研究を積極的に押し進め,研究開発資源の発掘や知的・人的資源の供給に寄与します。なお,資源の開発・有効利用に関しては,「海洋自然科学コース」の海底資源科学・海洋物質科学に関連した分野と密接な連携を保ち教育研究を実施します。
(1)水熱無機機能科学分野
高温高圧下の水が関与する無機化合物の創製や構造変換,有用鉱物資源の探索や利用,錯体化学に関連する無機機能性材料の構造解析や合成,さらには中間に生成する反応活性種の同定や定量について,それら材料の機能構築・機能解析・機能変換を重視しつつ体系的に教育研究します。また,応用材料分野や物質循環プロセスへの展開を視野に入れ,セラミックス材料,無機酸化物複合材料,生物無機機能性材料,無機固体触媒材料,電子材料,無機―有機複合材料等の開発,資源リサイクル手法の開発,及び廃棄物処理手法の開発等についても教育研究します。
研究内容 |
担当教員名 |
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水熱反応を利用したセラミックス合成と廃棄物の処理・有効利用 |
柳澤 和道 教授 |
溶存化学種の同定と新規分析手法の開発に関する研究 |
北條 正司 教授 |
水熱法・電気化学法による機能性セラミックスの合成と物性評価 |
梶芳 浩二 准教授 |
機能性金属錯体の分子設計・合成・物性評価と機能発現機構の解明 |
米村 俊昭 教授 |
新規金属錯体の合成・生成反応解析・電気化学的酸化還元挙動に関する研究 |
上田 忠治 准教授 |
化学成分を水圏において現場で連続的に分析・定量する現場化学分析法の開発 |
岡村 慶 准教授 |
固体触媒の水熱合成・物性評価とバイオマス変換への応用 |
恩田 歩武 講師 |
(2)有機物質創成科学分野
天然有機物資源,有機機能性物質,有機金属物質,医農薬材料,分子認識材料,超分子材料,有機-無機複合材料等を含む種々の有機化合物を対象として,官能基変換,構造変換,相互変換,機能変換,機能構築に関わる物質創成の方法論の開発や利用及びそれらの構造解析手法,さらには分子レベルからの機能解析や生成機構について体系的に教育研究します。また,新規有機機能性物質の開発による応用材料分野への展開をも視野に入れ,高効率的分子触媒反応の開発,環境負荷低減型物質変換プロセスの開発等についても教育研究します。
研究内容 |
担当教員名 |
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超高圧有機合成・天然物合成・不斉触媒反応・環境調和型有機合成 |
小槻日吉三 教授 |
天然物化学・生物有機化学・有機合成化学・糖化学 |
市川 善康 教授 |
遷移金属触媒を用いた新規反応・不斉反応の研究 |
清岡 俊一 教授 |
海洋生物および海洋微生物からの有用化学物質の探索と医薬品リードの開発研究 |
津田 正史 教授 |
反応速度と分子軌道法に基づいた反応中間体・遷移状態構造の解明 |
藤山 亮治 教授 |
有機無機複合機能物質の分子設計と合成およびプラズモニクス材料への応用 |
渡辺 茂 教授 |
生体分子の構造と反応機構解析・理論計算による有機反応の機構解析 |
金野 大助 准教授 |
(3)生命情報相関科学分野
生命がもっている膨大な情報の抽出及び解析,情報データベースの構築とその検索,生命情報を担う高分子の複合的相互作用に基づく機能解明,生命情報とホモトピー論的構造の相関などについて,体系的に教育研究します。データベースを統合検索するための分散協調処理や統合された巨大データからの知識発見・データマイニング法などを使って,遺伝子情報の体系化を実践的に学び,生命情報の多様性と生物の生活様式や生殖様式の多様性との相関についても教育研究します。
研究内容 |
担当教員名 |
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動物の生殖・加齢・細胞分化を調節する遺伝子群とその作用機序 |
川村 和夫 教授 |
ホップ空間と高位ホモトピーに関する研究 |
逸見 豊 教授 |
三角圏保存関手の見地からの対称モノイド圏の研究 |
下村 克己 教授 |
フォスファーゲンキナーゼ及びヘモグロビンの機能解析と進化 |
鈴木 知彦 教授 |
分散データベース論と情報システム設計法の研究 |
村岡 道明 教授 |
動物の胚発生 ,無性生殖 ,再生の分子発生生物学的研究 |
藤原 滋樹 教授 |
不確実システムにおける非線形動的最適化理論とその応用 |
大坪 義夫 教授 |
複素解析学の研究(特に複素力学系,中でも超越整函数の力学系) |
諸澤 俊介 教授 |
量子計算論および量子脳理論に関する理論的基礎研究 |
中込 照明 教授 |
不変量による偏極多様体の構造解析とその応用に関する研究 |
福間 慶明 教授 |
準周期タイリングとコンフォメーションの成す配置空間 |
小松 和志 准教授 |
(4)量子物質機能科学分野
凝縮系物質や原子核・ハドロン系物質など強い相互作用する系の基底・励起状態における相関構造及び動的過程を量子力学的多体理論に基づいて教育研究します。また,量子力学多体系の実践の場の一つとして,固体が示す磁性や超伝導などの量子力学的多電子系の性質を核磁気共鳴法を用いて微視的実験の立場から教育研究します。また,情報化社会の中核技術である計算機の構成とその実現,及び情報通信技術への応用を教育研究します。これらを通じて,量子現象的観点から物質機能について体系的に教育研究します。
研究内容 |
担当教員名 |
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確率論的最適化手法,設計自動化ソフトウェアの研究 |
豊永 昌彦 教授 |
核磁気共鳴法による強相関電子系の磁性,超伝導の微視的研究 |
松村 政博 教授 |
極低温・高圧下の希土類化合物の磁性研究 |
西岡 孝 教授 |
強い相互作用する量子多体系の動的過程と相構造の理論的研究 |
津江 保彦 教授 |
現象論的アプローチに基づく高密度物質研究 |
飯田 圭 教授 |
※出願を希望する者は,あらかじめ志望する教育研究分野の教員に必ず問い合わせをしておくこと。なお,各教員のより詳しい研究内容等について知りたい方は,高知大学のホームページ中の研究者総覧をご覧下さい。